EYES WITH DELIGHT
(ふたりのせかい)


「……一つ、聞いても宜しいか」
「Ah? 何だよ」
「政宗殿は、何故某と一緒に居てくれるのだ?」

 如何にも解せない、というように、幸村は問うた。純粋にわからない、疑問で疑問で仕方ないと言わんばかりの表情で。
 その言葉を聞き、政宗は不思議そうにぱちくりと目をまばたかせたが、すぐに何が可笑しいのか、けらけらと嗤い出した。幸村は不満そうに口を尖らせる。そして「笑うなんて、酷いでござる」とぶつぶつと呟くのだ。こういうところはまだ子供だな。と、政宗は常々思っている。
 ――言ってしまうと、幸村はもっとつまらなさそうにするから、いじめたいときにしか言わないようにしているが。

「悪ぃ悪ぃ、本当にわかんないみたいだったから、つい……な」
「『つい』で済むものか」
「不機嫌になんなよ。本当、お前は単純だな」

 ぽすぽすと幸村の頭を撫でてやると、幸村は一瞬、飼い主に撫ぜられた犬のような顔をしたが、すぐにはっと気付いて顔を繕った。
 今回は流石に絆されねぇか、と政宗が心中呟く。

「政宗殿、どうして一緒に居てくれるのか、某は教えてもらっておらぬ」
「……俺が手前と居たくて居るんだよ。それに理由なんて要らない。そうだろ?」

 政宗はくすくすと笑ったまま、幸村の頬に赤い唇を押し付けた。
 紅潮した幸村の首に、政宗はするりと腕を回す。紅潮して「は、破廉恥だぞ政宗殿」と、顔を振って驚きと気恥ずかしさを誤魔化そうとする幸村の耳に、噛み付くような甘い声で囁く。

「真っ赤だな。境目がどこかわかんねぇくらい」
「……政宗殿が、そういうことを、されるからではござらぬか」

 小さく呟いた幸村の声なんて、もうまるきり無視して、政宗は

「――林檎みたいで、食っちまいたいくらいだ」

 と、次は唇にキスをした。幸村はもうどうして良いのか分からなくて、そのまま、政宗の背に腕を回す。
 そして二人で、沈んでく。





write:2007/03/23
up:2007/03/24
サナダテ書いた。甘い。砂吐きそう。
何ていうか、気分があまりにもクサクサしてるから、
明るくて馬鹿っぽいのを書いて気分盛り上げようとしたんだけど、
逆効果だったっぽい。
もう寝る…………