「ミハくん」

 ちゃんの声が、俺の名を呼ぶ。まるで、甘い砂糖菓子みたいな声。俺は、この声を聞いてると、頭がふわふわとして、柔らかい気分になる。どうしてなるのか、は、わかんないけど。

、ちゃん」
「おはよう」
「あ、うん、えと、おは、よ……」

 ぽふぽふと俺の頭を撫でてくれる感触が気持ち良い。
 ちゃんと一緒に居ると、胸がきゅうんとして、甘い香りがして、とっても、シアワセな気持ちになる。ふわふわしたちゃんのいい匂い。お菓子みたいな甘い香りがする。

「朝練お疲れ様。飴あげるー」

 ちゃんは薄い桜色の巾着からふたつ飴を出して、そのうちのひとつ――ピンク色のほう――を俺の手の上に乗せた。

「えっ、あ」
「疲れた体には甘い物ー。遠慮せずどーぞ」

 ちゃんがもうひとつの飴――赤色の――を自分の口に含んだ。それを眼で辿った後、自分も飴の包み紙を解いて、ちゃんに言った。

「あり、がと……」
「うん。どう致しまして!」

 にこりと笑ってくれるちゃんは、やっぱり、甘い匂いがした。




あなたはまるで砂糖菓子

俺に幸せをくれるもの。



2006/08/02