眠気に勝てず、ぐっすり眠って目覚めてみれば。
私の足を枕にしてぐっすり眠る人の姿が。

もしもし、そこのお坊ちゃん。そこは枕じゃないんだから起きなさい。
……いや起きなくてもいいから私の膝の上から自ら退いて下さいな。

足が痺れちゃうから、本当に早く退いて!











サイレント











私の膝の上でリーちゃんは縮こまりながらすやすやと眠っていた。
その姿は小動物…とりわけ子猫を彷彿させる。
子猫が母猫の毛を敷布団に眠る姿、まるでそんな格好でゆっくりと眠り入るリーちゃん。


「起きてよ、リーちゃん」


いつもは気を張っていて、寝ているときに近付いただけで目を覚ましたりするくせに。
今日は声を掛けても起きない。
まあ、ちょっとは身動ぎするから、眠りは浅いんだろうと思うけれど。


「リーちゃん私の足が痺れるから起きてよー」


ふにゃ、とリーちゃんの口から寝言のような息のようなどちらとも取れる声(?)が聞こえた。
こりゃダメだ…起きっこないわ。
まあ、まだ10歳にもなってないから疲れやすいし、気張ってばかりじゃ疲れるだろうけど。
私だってずっと膝枕してたらさすがに疲れるんですって。
…いえ、かくいう私もつい先ほど起きたばかりですけれど、ね。


「…起きる気なんてありませんよー…って?」


頬っぺたをこしょこしょ指でくすぐってみる。
リーちゃんはほんの少し身動ぎすると、また動かなくなり小さな寝息が聞こえるようになった。
はあ、と口をついて溜息が出る。
まあ仕方ないか。時々ウェンより年上に見えるけどまだ9歳なんだもんね。
特にやることもなくて、リーちゃんの髪をくるくる指に絡めてみた。

うわあ、猫っ毛だ猫っ毛。すっごい柔らかい!
綺麗な黒だし、ストレートだしサラサラだし…あー、なんかリーちゃんが羨ましい。
私の髪は純粋な黒ってわけでもなければ、茶色ってわけでもないもん。
リーちゃんの髪はすっごく綺麗な黒で、サラサラしてて、柔らかい。
……そういえばウェンも綺麗な髪だよね。
この辺はちゃんと似てるのね。
さすが兄弟だわ。性格は正反対だけど、髪質はそっくり。


、メンテ頼んでも」
「あ、グレイ、ちょっとしずかにしてあげて?」
「?…リー寝てるのか」
「うん、メンテは夜やるから、夜にもう一回持ってきてくれる?」


「わかった、夜な」とだけ言ってグレイが扉の音を極力立てないように気を付けて閉めてくれた。
私はそっとリーちゃんの頬に指を触れた。
しっとりとしていて、小さい子特有の柔らかくてハリのある心地いい肌。
あああ。髪といい肌といい男の子に負けてるんじゃないかなあ、私…。
…まあ、そんなことどうでも良いや。

きっとこんな小さな体で精一杯頑張ってるリーちゃんはものすごく疲れているんだろう。
それならば、今だけでも温かい柔らかな平穏を。

眠るリーちゃんの頭を一度優しく撫でて、私は小さくこう言った。



「…起きるまでだけよ。リーちゃん」





2005/04/25
…リー・ユンファ夢って…名乗っても良いですか?
リ、リーが寝てるだけだけど名乗ります!これはリー夢です。
ただ膝枕…してあげたかっただけなんです。
んでもって髪の毛くるくる指に絡めたかったんです。
彼が猫っ毛だというのは私の希望的観測です。

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