呼 吸 の 仕 方 を 忘 れ て 、 溺 死 す る
「……あッ、ぅん」
これは、数少ない意思疎通の手段。まるで野性にかえったかのようなこの一瞬に、私は限くんの感情の一端を知ることができる。
彼が優しい口付けをくれれば、その日一日彼は安らかに過ごせたのだと知る。彼の手が乱雑なときは、気が荒れてる証拠。あまりにも性急にことが進むのなら、彼はきっと何かに焦りを感じてる。
行動の端々に現れる限くんの感情に、私は溺れてく。
「げん、くん……ッ」
体中を走っていく快感の電撃に耐え切れなくて、私は自分の手を握り締める力を強くした。私の肌を辿る限くんの指がいつもより格段に優しくて、私の頭はぐるぐると回ってく。ああどうしよう、私溺死しちゃう。
力の入れすぎで肌の色が消えかけた手を見て、限くんがほんの少しだけ眉を顰める。
そして、まるで精巧な硝子細工を取り扱うみたいな優しい手付きで私の手を拾い上げ、そっと私の指に口付けた。ふっと力が抜ける。てのひらについた爪の痕を、限くんはぺろりと舐める。
――ぞくり、とした。
「」
「……ぁ」
「力、入れんな」
「む、り……ぃ」
「……傷になる。無理なら、俺に手ぇ回せ」
また肌に降りてくる優しくて熱い唇。そこから、蕩けてしまいそうだと思うほどに熱い唇が、私の肌に赤い痕跡をつけていく。たくさんの痕を。
「やっ……ぁん、」
口から飛び出てくる甘ったるい自分のものとは思えない声も、いつもよりすごく優しい限くんの指も手も唇も、全てが私を深い深い快楽の海へと引きずり込む。
「平気、か?」
「だぃ……じょう、ぶ……だ、からぁ……っ」
だから、お願い。そんな懇願を込めて、限くんのめじりに口付ける。限くんは一瞬だけ意外そうな目をして、でもすぐ不敵な顔をして、私にキスをし返した。
泳ぎ方を忘れた魚みたいに、私は呑まれていく。限くんという広い海に。
私を貫く痛みを伴う気持ち良さが脳を揺らし、崩し、破壊してく。もう、このままで良い。ずっとずっとこのまま海に呑まれたままでいい。
私は、ずっと限くんと居たいよ。ぎゅうと、限くんの背に回した手が、強く背に食い込んだ気がしたけれど、私には力を緩められるほどの余裕なんて無かった。
「ぁんっ、あ、んぅ……限、く、ん……っ」
大好き大好き大好き大好き。私が限くんの気持ちをほんの少しだけ拾い上げれるみたいに、限くんも私の気持ちをちょっとでも拾い上げてくれますように。
そう思いながら、もう何度言ったかわからない言葉をもう一度脳内でリピートした。
2006/04/07
『眠い頭のまま書いた。流石にサイトにはあげれないだろうと思う』
――とメモ帳に書いてありました。友達に言ったら「見たい!」と言われたので上げちゃいます。
志々尾限えろ夢。一番最初にこういう描写をするのはのと様かはとばさんだと思ってたんだけど……あけてみれば限くん、ですか。
いえ、良いんですよ。別に後悔なんてしてませんから。でも恥ずかしいといいますかなんというか。
……サイト消えたりしないよね? ね?
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