多分こいつ、何よりもポンデリングを愛している。









理由なんていりませんただきなんです










いや、ポンデリングなんて言ったら怒られる。
前、友達にメールで『ポンデリング食べに行こう!』って送ったら指噛まれたもん。
『ポン・デ・リング』ときちんと点を間に打たなければならない、らしい。
ちなみに、ポンデライオンは点を打って無くても怒られない。
自分の名前をきちんと打ってもらうことより大好物を正しく打ってもらうことを願う我がペット(?)ポンデライオン。


「もっち、もっち」
「あんた私が買ってきたドーナツの中のポン・デ・リングだけ食べないでよ。私が食べたくて買ってきたのに…」
「がおー!!」
「はあ?とうふドーナツを食べろですって?私ももっちもっちしたいの…!」


私はポンデライオンに家に住み付かれて以来、ポン・デ・リングを家で食べれた例が無い。
ポンデライオンは自分で自身の食べ物生産できるから食べなくても良さそうなものなんだけど、
見ると食べずにはいられないみたい。
某ドーナツの箱を持って家に買えれば確実に中身を探られる。
そして、見つけたポン・デ・リングは根こそぎ食べられてしまうのだ。


「もっちもっち…」
「ああ…我が愛しのポンデリン」
「がおー!」
「あ、ごめんごめん。我が愛しのポン・デ・リング、ね」


言い直せばポンデライオンはそれでいいのだ、と言わんばかりに首を縦に振った。
思わず、口から溜息。
仕方が無いのでとうふドーナツココアを一口食べた。
…切ない。
とうふドーナツも美味しいさ。私は好きよ。ミニとうふドーナツなんて可愛いしね。
でもね、ポン・デ・リングも食べたいわけよ。しばらく食べられなかったから、尚更。


「がおー」
「え?」


にこにこ顔の球体が目と鼻の先にいる。
視線を下げればポンデライオンの足元に(恐らくポンデライオンに装着していたと思しき)ポン・デ・リングが。
私はポン・デ・リングを指差してポンデライオンに確認した。


「これ、私がもらっていいの?」


そう問えば、元気な笑顔のポンデライオンは縦に大きく首を振った。


「ありがとう、ポンデライオン。頂きまーす」


ポンデライオンの仄かな優しさに深々と心の中でお礼を言って、私ももっちもっちとポン・デ・リングを食べはじめた。
ふわふわでもない、サクサクでもない、しっとりでもない食感を私は楽しんだ。



ポンデライオンがぷくーと膨らんだのが見えた。
浦々とした、ある昼下がり。





2005/03/26
ポンデライオン、懲りずにまた書いてみました。
相手が日本の言語を話さないってだけで書く難しさは格段にアップです。
しかもとっても短いです。ごめんなさい。
私、会話の掛け合いがないと話を伸ばせないんです。
でも、ポンデライオン夢気に入ってくださった方がいらっしゃるようでビックリです。
…需要は殆んどないものとばかり思ってましたから…

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