大丈夫だよ。









たくさんの好きと、たくさんのを、きみに










「ガンノス?どうしたの、眠れないの?」


草木も眠ると謳われる牛三つ時に、ガンノスが目を擦りながら私の近くに歩いてきた。
ガンノスはチームジャンクに所属するとはいえまだ幼い。睡眠時間は長くとらなければならない。
ガンノスは私の近くに寄り、ぎゅっと私にしがみついた。


「…ハジャに苛められた?何かいやなことあった?」
「…………」


頭を優しく撫でる。
ぎゅう、と私にしがみつく腕の力が少し強くなった。


「ココアでも飲む?」
「…ん」


ガンノスは小さく肯定の返事をして頷いた。
それを聞いて私は立ち上がろうとしたけれど、ガンノスは私にしがみついたまま離れようとしない。


「ガンノス、離れてくれなきゃ取れないよ」
「……いやダス」
「…あのね」


呆れて諭そうとしたけれど、今のガンノスを一人にするのも気が引けた。
腰の辺りにしがみつくガンノスをひょいと赤ちゃんを抱くように抱いて、自販機に向かった。
ガンノスの目に、涙が滲んでいるのが見えた。
けれど、私はそれを見なかった振りをした。
それに触れるのは、なんだかしてはいけないようなことのように感じられたから。


ココアをガンノスに差し出す。
ガンノスはしがみつく腕を放して、出来るだけ近くに座ると缶を開けてココアを一口啜った。


「美味し…」
「…安上がりでごめんね」
「別に、いいダス」
「そっか、良かった…」


いつも元気なガンノスが今はとてもしおらしく見えた。
ココアを飲み終わったのか、またガンノスは私にしがみついた。
私はそんなガンノスの頭をそっと撫でた。


「大丈夫?」
「大丈夫ダス」
「悪い夢でも見た?嫌なこと思い出した?」
「…あの日のこと、思い出したダス」


多分、ガンノスが言う『あの日のこと』というのは、マンモが攫われそうになったあの時。
ガンノスがチームジャンクに所属する原因になった日。


「…マンモが攫われそうになった日?」
「そうダス。あの日、自力でマンモを助けていればここにはいなかったかもしれないダス」
「…うん」
「コソコソしないでビーダマン出来たかもしれないダス」
「……そっか」


後悔を、しているのかもしれなかった。
でも、選択肢はどちらを選んでも選ばなかった方の結果を想像して悩んだり後悔するものだから。


「でももし、ガンノスが自力でマンモを助けようとしてその密猟者に絶対勝てたと思う?」
「……」
「マンモが絶対攫われなかった、と言える?」
「それは、言えないダス」
「でしょう?確かに、今の状況はガンノスにとってあまり良いものじゃないかもしれない。
 けど、マンモと一緒に居られるでしょ?違反をしてでも守りたかったマンモと」


そっと頭を優しく撫でながら、諭すように言う。
ガンノスの泣く声が、止んだ。


「まあ悪いことする団体さんが良いとは決して言えないけど…」
「そうダスね、マンモが守れたから、これでいいのかもしれないダス」


ガンノスが、結論にたどり着いたようだ。
しがみついていた腕が、離れる。
ガンノスが涙を乱暴に拭った。


、ありがとうダス」
「…どういたしまして」


ソファから飛び降りて、ガンノスは私に「おやすみダスー」と言って駆けて行った。
私はガンノスが置いていった缶をゴミ箱に捨てて言った。



「おやすみ、ガンノス。よい夢を」





2005/03/29
タ、タイトルと進んだ方向性の…大きな相違が…あの…。
この小説の方向性とタイトルの意味の違いっぷりが…もう…
すみません。どうしよう。
ガンノスを撫でてココアを飲ませてあげたかっただけなんです。
…このタイトルなんだから恋愛系にしたほうが良かった…?
こ、これがヒロインさんのガンノスに対する愛なんです!

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