矛盾いっぱい抱えてるけど
嫌い、だけど好き 嫌いだから、好き
「恋はするものじゃない、落ちるもの。とはよく言ったものだよね」
のとはにやりと笑って言った。
私はそれを尻目に缶コーヒーを一口啜った。
「落ちた先は地獄のよう、とでも言うの?」
「まあ…袋小路になるって感じだと思うけど」
「逃げ道は無いって?」
「恋に落ちたら、逃げられやしない。…そうだと思うけど」
のとはまたにやりと笑った。
私はそれを無視した。
最近、のとの行動が自分の純白に影響を及ばないときはそれを無視する技を手に入れた。
PPは20。のとが不機嫌になるのと引き換えに精神的な平穏を得る、使い時が難しい技。
多用したり使うタイミングを間違えれば、のとの反撃を喰らう、諸刃の剣…。
「どうでも良さそうだね」
「…そうね、どうでもいいわね」
そう言えば、のとは声を出して笑った。
私は心の奥で今日は何が目的なのかしみじみ考え込んでいた。
……ダメだ、何も思いつかない。
のとの行動は予想のつかない突飛な行動が多すぎる。
女装したりキャ○ディ○ャンディを歌いだしたり…。
「?僕はね、もう待てない」
「……」
「と、言うより、もう待ってなんかいられない」
のとの指が首を辿る。
ぞくぞくと背筋を一直線に走る感覚。
手から力が抜けて、まだ中身の入った缶コーヒーが床に落ちる。
その様子は、とても遅く目に映り、まるでスローモーションのようだった。
「……もう、いいでしょ?――」
真摯な眼差しののとと視線がかち合う。
一瞬息を呑むが、それに飲まれてはいけない。飲まれたら一巻の終わり。
強い目を出来るだけ取り繕って、背を伸ばして。
「…まだ、嫌。…ていうか、絶対嫌よ!」
別に押し倒されていたわけでも、腰とかを押さえられていたわけでも無いから、すぐに抜けられる。
ピンと背筋を伸ばして、のとの横をするりと通る。
のとの呆気に取られたような表情を一瞥するとすぐに部屋から出た。
のとなんて嫌い。
あんな腹黒くて、猫被りで、性格悪いの。
……だけど、いないと落ち着かない。
わかってる、これを本当は何て言うのか。
でも悔しいから、まだ気付かない振りをする。
2005/04/01
黒のと様のブラックシリーズなのか違うのかいまいち曖昧です。
やっぱり…タイトルというか題名との相違が…
…笑って優しく許してください。
多分、私は白のと夢は書けないんだと思います…。
『白』と『黒』だなんてプリキュ○みたい…。
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