ちゃんと黙っていてあげる。今だけは









今だけは背中をててあげるけど、いつかは









…広い背中。
昔は私のほうが高かった身長も、今となってはそれがまるで嘘のよう。
確か178cmぐらいあったかな?じゃあ私とはおよそ20cmくらいの差ってことね。
背伸びしたって縮まらない差。
踏み台に乗ってやっと同じくらいになれるって程度?

……なんかすごい悔しい。

昔はものすごい泣き虫だったくせに。
チーズをはじめて見たとき震えて泣いたくせに。
いっつも私の後ろをついて来てたくせに。

…今じゃ私が追いかける側。
あの頃とはまるで正反対。


「暢気に縁側でお昼寝とは良いご身分で…」


眠るすんきに厭味を言う。
厭味を物ともせず(というより、脳で処理されてない)まだすんきは眠る。
逆に美濃のほうが申しわけ無さそうに私の肩に止まった。
…美濃は可愛いわね。どうすれば鳥が人間の言葉を理解するのか知りたいけれど。


「……すんき、起きて」


こめかみを押さえながらすんきに声を掛ける。
まだ、起きない。


「ねえすんき。起きてもらえる?」


苛立つ自身を抑えつつ、すんきに極力優しく声を掛ける。
まだ起きない。というか、微動だにしない。
今だに寝息を立てて眠り続けるすんき。

苛立ちは、ピークに。


「すんき!起きなさい!」
「……!!」


耳朶を摘んで大声をあげる。
…やっと起きた。なんかすごい驚いた顔してるけど、私を待たせた罰ってことで。
すんきが驚きすぎて後退して、そのまま縁側から転げ落ちた。


「…ちょっと大丈夫?」
「な、何ゆえ…?」
「すんきが英語を教えてほしいって言ったからいるんだけど」
「あ、そうだったでござるな…」
「だから来てあげたっていうのに当人優雅にお昼寝?」
「申し訳無い…」


申し訳なさそうに頭を下げるすんきはあの日と何も変わってないように見えるのに。
…でも本当はいろんなことが変わっていて。


「別にいいわよ」


安心したようなほっとしたような表情もあの日と何も変わってないように見えるのに。
…すんきの手は大きくなったし身長は私を追い抜いたし、背は広く逞しくなった。

すんきは縁側にまた上がって、砂埃をはらった。
そしてのろのろと部屋に向かって歩いて行った。
…その背は昔と違ってとても広くて、逞しくて力強くて何故かわからないけど悲しくなった。


?大丈夫でござるか?」
「……うん、大丈夫。勉強しようか」
「承知した」



その広い背中を見るのはいつまでだろう。
…それまでは、黙って背中を追いかけるけれど、それが終わったら私は何をするだろう。


「Jはしの誤字じゃないの!私、前もアルファベット教えたと思うんですけどー!」
、す、すまぬ…!」


でも、今はこのままでも良いかな、なんて。





2005/04/03
あれ?…何事?えっと設定的には幼馴染。多分。
子供の頃はちょっと泣き虫でヒロインさんの服の裾掴んでついて回ってる子。
でも今は正義感に溢れた世間知らずさん。
ヒロインさんは多分すんさん好きだったんだろうなあ…昔っから。
……なんか色々とあれー?な小説でごめんなさい。
以後要リベンジ。

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