「私じゃご不満?何が不満かしら。言って?」
「ううん、不満じゃないよ。むしろ満足」
「なら良いじゃない。一緒に行こうネズミーランド」


にっこりと微笑んでみる。
目の前のコナンくんはとっても憮然としたな表情をしていた。
だから、そんなに不満があるなら言って頂戴って言ってるのに!











Do the man












「あのね、姉ちゃん」
「うん」
「僕は子供で、姉ちゃんは大人なの」
「そうだね、でも私は法律上ではまだ子供よ?」


そう言ってコナンくんの瞳をじっと見つめる。
長い間見つめすぎたのか、コナンくんは恥ずかしそうに視線を逸らした。
大きな黒ぶち眼鏡の奥の目が、こっちを窺った。


「他の人には、お姉さんと仲の良い弟にしか見えないんだよ」
「他人は他人で、私たちは私たちでしょ?関係無いじゃない」
「それでも、僕は嫌だ」
「え?」
「僕は姉ちゃんと対等の立場に立ちたい。弟とか年下とかでは見られたくない」


コナンくんの視線は実に真っ直ぐで強さを持っている。
その眼に射られると、コナンくんが本当に小学生なのか疑ってしまう。
胸が少し、跳ねる。


「僕は姉ちゃんが好きだし、姉ちゃんが僕のことを好きでいてくれてることは知ってるよ。
 でも、世間では僕らは絶対恋人としては認識されない。それが嫌」


そう言ってコナンくんは私の右手を取り、自身の左手を私の手と合わせた。
私の手のほうが、大きい。


「この手の差も、身長の差も、凄く大きい」
「…でも、すぐに無くなっちゃうわよ、こんな差なんて」


だってもうすぐ第二次成長期も来るだろうし、と私は続けた。
コナンくんは何かに怒ったみたいに急に立ち上がって、私の目の前に立っていった。



「確かに身長差も手の差もすぐ無くなっちゃうかもしれないけど、
 年の差だけはどんなに頑張っても埋まらない!」



ああ、確かにそうだ。
年の差だけは同じ時を刻む以上、絶対に埋まらない。絶対に変えられない。抜かせない。


「…そ、だね」
「………」


肯定の言葉を紡ぐと、コナンくんがそうでしょ?と問い掛けるような視線をみせた。


「今度の休みは、二人で過ごそう?これならだれにも変なこと言われないから。ね?」


コナンくんは弾かれたように顔を上げた。
驚いたような目で私を見るコナンくんの顔が、なんだかとっても愛しい。


「…うん、そうしよう」
「よし、決まり」


にっこり微笑んでコナンくんの頭をぐしゃぐしゃと撫でるとコナンくんから非難の声があがる。


姉ちゃん子ども扱いしないでよ!」
「あ、ごめんね、つい…」


はっと気付いて頭から手を離したけれど時既に遅し。
不機嫌オーラを全身の毛穴という毛穴から漲らせ下を向くコナンくん。
怖いです。本当に小学生なのか疑いたくなるよ。


謝ろうと思って顔を覗き込んだ瞬間、唇に、柔らかい何かが一瞬。


「コ、ココ、コココ、コナンく…!」
「ダメだ、これから子ども扱い禁止ね、…
「!」


酷く艶やかに笑んだコナンくんの顔は、直視するのがとても恥ずかしかった。
「姉ちゃん」が付いてないだけで、印象が大きく変わるものだ、と小さく思った。



これから物凄く、振り回されそうです。





2005/03/09
何があったか名探偵コナン夢。しかもコナンの…。
小学校の3、4年生くらいの設定かな?
蘭ちゃんは何処へ?とか野暮なことは聞かないで下さいな。
あー、楽しかった。あ、本音が…!

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