深々と降ってくる雪に溜息を吐くと、息が真っ白に染まる。真っ白に染まった世界。
 もう降るな、と思ったところで、私たちの願望なんてどこ吹く風の気候は残酷にも気象を荒らしてく。






 ■ 冬の過ごし方 ■ パターンB! 会津誉です!






「あー重……ッ」
「慣れりゃかるこいもんですよ」
「女の子はあんまり雪掻きに借り出されないから慣れてないの」
「……へえ」


 誉が私を馬鹿にするように相槌をうった。――今の誉の考えが、透けてるかのように見て取れる。


「今『どこに女がいる?』って思ったでしょ」
「ようわかりましたね。その通りですよ」
「私は列記とした女性ですー。染色体もばっちりXXだし……」


 雪掻きの相棒、真っ赤なママさんダンプに乗せた雪をだばーと雪山の上にあげる。
 年に数回、数十回。冬場だけの辛い仕事。粉雪だと楽だけど、少し湿ってる重い雪だったりすると最悪。靴の中に水が侵食してくるし、何より雪が水を吸って重いのなんのって。
 冬は家の中が温かいから居心地が良いけれど、雪の処理が面倒だからあまり好きじゃない。
 旅行者が雪を見て「綺麗ねー神秘的だわー」って言ってるのを見ると、軽い殺意すら抱く。


「ほら。きびきび動きさんしょ」
「…無理。指先の感覚なくなりそう」


 溜息を吐いて、コートに張り付いた雪の結晶の固まりを叩き落とした。
 確かに結晶は綺麗といえば綺麗だけど、――正直、それだけ。見慣れてしまえば、何てことはない物だ。


「…はあ」
「何さ。その呆れたような溜息」
「……終わったら、紅茶淹れますよ」
「え!? ホント? 誉が淹れてくれるの?」
「…終わったらですよ」
「それ絶対ね! なら頑張る!」


 誉が小さく「現金な」と呟いたけれどそんなの気にしない。少しぐらい現金だっていいじゃない? 人間ってそんなもん。
 ――まあ、私としては誉と一緒にいれるだけでもう十分だったんだけど、役得かな?



※ 北海道民の意見を詰め込みました。道民ではない方には受け入れ難い内容かもしれませんがご容赦を。





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