ど う か 、 私 の 名 を 呼 ん で
「悲劇の地スペイン――?」
白凰様が無機質な目でそう告げる。興味をそそられる場、気になるところ。彼はそう言った。
私は白凰様の言葉をまるで馬鹿みたいに反芻するだけだった。
ゲドーが、ほう、と短く嘆息した。
「お言葉だがW、スペインにはRとSが行っている」
「…行ってはいけない?」
「そういう訳ではない、Wが望むならスペインへ行こう」
ゲドーは短く言うと飛行船をチャーターしに立ち去った。
…あんな格好で突然来られたら一般の人は普通引くわよ。
あんな黒の被り物なんかして、ちょっと昔のスカラー波の人たちみたいじゃない。
「行くよ」
「――はい、はく……ホワイト様」
思わず呼び慣れた名を呼びそうになった。
彼はここに来た当初に呼んでくれていた昔の名をもう呼んではくれない。
彼は私とちゃんと恋人していたときの名を呼んではくれない。
私のことを「」とはもう呼んでくれない。――呼んで、くれない。
「…スペインに、何かあるのですか?」
「さあ? ただ、気になるだけさ。そこにいる、人がね」
「……」
彼はもう昔のように私に話してはくれない。
あの頃のように優しく笑んでもくれない。
好きとも、愛してるとも言ってくれない。
感情なんて置いてきぼりの、愛のない戯れしか、もう無い。
服で隠した紅い痕に服越しにそっと手を乗せて、私は小さく祈った。
――昔のように、私の名前を呼んで。と、ただそれだけで良い。
今は、それだけを祈る。
伏せていた目を上げ、私は真っ直ぐ前を向いた。
彼が元に戻るまで、私はこの滑稽な演技を続けなければならないから。
「ホワイト様、どうかあなたにご武運を」
「…ああ、ありがとう」
……嗚呼。いつになれば、この滑稽な舞台は終幕するの――?
2005/09/19
ホワイト様の記憶喪いnot幼児Ver.の話し方が全然わからないのに書いちゃった!
コロコロ10月号を読んで、したのがこの妄想。白凰様があんなに無機質になるなんてー!
ただねーR&Sのデュエルって、見てると「…えー?」って思う。
逆立ちしたままとか、突っ込んじゃいけないんだろうけど…色々と思うの。あれって手札見えるの?
ドレス脱いだ中身がレオタード? 水着? なのもね。突っ込んじゃ…ダメ?
あと、バベルさんに一つだけ言いたいことがあります。
「その賭けって賭けてるものは命じゃなくて人生だと思います!」うん。満足!
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