わ た し の ね が い ご と
眩しさを感じて、ぼんやりと目を開く。
カーテンの隙間から覗き込んだ太陽が、目覚めたばかりの目に強く色濃く焼きついて、頭が嫌な方向で醒める。
はあ、と溜息を吐き「自分の眼の健康の為にも」と言い訳にもなりきれてないことを考え乍ら、カーテンを閉めて、ずるずるとまた蒲団の中に身体を沈める。
寒い。目覚めたときは肌寒さなんて感じなかったのに、やっぱり朝は冷える……。
さすがに、この朝の冷え込みは酷だ。
「……ふく、きなきゃ」
身体を起こし、先程と比べて少しだけ暗くなった部屋で床に散らばった服を拾う。
脱ぎ捨てられた服には、不似合いな皺が寄っていた。
皺だらけの服を気にせず着込み、ふう、と長い溜息を吐くと、咽喉の奥に違和感がした。
一瞬、風邪か? と首を傾げたけれど、すぐにその考えを取り消した。
――鈍い腰の痛みと、毒々しいとすら思わせる散らされた赤色。リフレインするのは、優しさが抜け落ちた手の感覚。
一方的に行われた行為の、痕跡。
「…も、居ないし」
そう言うけれど、『白凰様がホワイト様になって以降、居た例がないか』と冷静に受け止めてる自分がいる。
…まだあの頃に縋ってるの?
冷静な“私”は、残酷で冷酷な真実を私に突きつける。酷く鋭利な刃物のような真実を、寸分の迷いもなく。
けれど、私はどうすることもできない。
だって私は、自己防衛の術をこれしか知らない。
「…もう少し、もう少しだけ」
自分に言い聞かせる。
も う 少 し で 白 凰 様 は 記 憶 を 取 り 戻 す か ら 、 も う 少 し の 辛 抱 だ 。
私は、何度これを言っただろう? 私は、何度運命に裏切られただろう?
終らない押し問答。自問自答にも、疲れた。
どさり、私はベッドに背中を預けて倒れこんだ。
右手を翳して、小さく呟く。
「…勝舞くん」
唯一の希望とも云える人の名を呼んだ。
目を閉じて、真っ直ぐとザキラに向かって行った彼の勇敢な姿を思い出す。
うん。きっと彼なら、絶対に。
私は、信じてる。
私が白凰様の記憶を取り戻すことは不可能だけれど、勝舞くんならばそれができると。
「お願い。私が言うのもおこがましいけれど…どうか、ザキラより強くなって……」
私は目尻に浮かんだ涙を拭って起き上がり、閉めたカーテンをまた開けた。
明るすぎる太陽は、私には不釣合いだと思った。
そして、この太陽は元に戻った白凰様のためだけにあるのだろう、と思う。
「私には無理だから、だからお願い……白凰様に、白凰様を返して……」
この声は、この願いは、あなたに届きますか?
2005/10/20
コロコロ11月号ゲット記念、デュエマ夢。
先月号に続き、私もこんなものよく書いたねえ…。
ただでさえ夢らしさがないのに名前変換まで無いという。
……すみません。所謂自己満足の塊です。
ある意味、これの上にある作品の続きっぽいです。
色々とまずい作品だ。本当にごめんなさい!
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