ま っ し ろ な ま ふ ゆ
「寒いよう…」
手袋を忘れて真っ赤な手に、はあと息を吹きかけながら呟いた。
コートもマフラーもしてるのに、手袋はどうして忘れちゃうんだろう?
よくうっかり忘れてこういった寒い思いをしているのに、何故かよく忘れてしまう。
どうしてだろう、と手を擦り合わせながらしみじみ考えた。
ふわりふわふわと落ちてくる雪は綺麗だけれど、この寒さを齎しているのがこの雪だと考えると酷く憎たらしかった。
「西丸ちゃんは寒くないの?」
「寒ぃよ」
「…の割には薄着だよね」
「が人一倍着込みすぎなだけだ」
もう一度、手に息を吹きかける。真っ赤になった手は自分のものだけれど、凄く痛々しいと思える。
本格的に、指というか、手全体の感覚がなくなってきている。
これはもうそろそろ危ないんじゃないかなあ、と思った頃、西丸ちゃんがぐいと私の手を引っ張って、手をコートのポケットに私の手も連れて行ったまま突っ込んだ。
「西丸ちゃん?」
どうしたの、と問うように声を掛けると、西丸ちゃんがいつもより小さな声でそれに答えた。
「……これで、ちょっとは平気だろ」
それだけ言って、ぷいとそっぽを向く西丸ちゃんの頬っぺたは赤かった。
寒さだけで赤いのかといえば、決してそうではなさそうで、先ほどまでより一層赤い。
「…ありがとう」
「ああ」
「西丸ちゃんの手、あったかい」
「の手が冷たすぎるんだろ。次から忘れるなよ」
「これでも気を付けてるんだよ? 気付いたら忘れてるの」
「それは気を付けてるとは言わない」
「酷いよ、西丸ちゃん」と言って笑うと、西丸ちゃんが小さく「笑うな」と赤い顔のままで言う。
ポケットの中で、遠慮がちに指が絡まって、じんわりと胸の奥があったかくなった。
「西丸ちゃん」
「何だ?」
「今日の夜はシチューがいいな」
「あのな、俺が作るのか」
「だって今日の朝は私が作ったよ?」
「…わかった。シチューな」
ぽんぽん、と繋いでない方の手で頭を撫でられた。
子ども扱いされてるみたいであんまり好きじゃないけれど、でも西丸ちゃんにされるとあんまり嫌じゃないから不思議。
「」
「なあに?」
「寒いな」
「そうだね」
「…でも、あったかいな」
「……そっか」
「ああ」
しんしんと白い雪が降る。
寒いのは嫌いだけど、こんな風に温かいならそれもいいかなあと、ふうわり考えた。
2005/12/27
ノマルとお手を繋いで冬道歩くって何か素敵じゃありませんこと!?
私はとっても素敵だと思います!
ノマルが照れて顔真っ赤にして女の子と手を繋いで歩いているのが書きたかったのです。
表現力が足りないのはいつものことですが、わかりにくい文章で申し訳ありません。
考えず、感じていただければ幸いです。
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